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2011年4月28日 (木曜日)

芥川賞にも三島賞にも縁がなかった作家・佐藤泰志を3冊揃える。

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「移動動物園」「海炭市叙景(かいたんしじょけい)」「そこのみにて光輝く」

 本の購入には一冊一冊想い出がある。
「移動動物園」は北見市のGEOで手に入れた。一見して見当たらなかったので、カウンターで伝票整理をしていた若い店員に尋ねたが、お兄ちゃんは自分の作業を中断されたせいか無愛想だった。それでも僕の要望した「現在入手可能な佐藤泰志の全著作」を検索端末で丁寧に調べてくれた。僕が知らなかったタイトルも発売されているようで、質問してみたが、そのたびに彼はデータを詳細に読み上げる。現在店にあるのは「移動動物園」だけのようだ。お兄ちゃんはするりカウンターを抜け出て売り場まで僕を案内すると、平積みになったいちばん上を手渡してくれた。立ち読みを逃れて痛みの少ない上から3番目をすくい取る悪い癖が僕にはあるが、一冊を売り上げるため時間を割いてくれた彼の好意がうれしかったので、渡されたそのままを持ってレジへ向う。外見で人は判断できないが、小説など読みそうにない若者が渡してくれた「移動動物園」。読み終えたあとも自室の書棚で背表紙を覗かせるだろう。
 実はその直前、別の書店をあたっていた。全国最大規模を謳う大型チェーン店で、今秋北見市の東側に本格店をオープン予定の、現在はTSUTAYA北見店の一角で営業するその店なら何でもあるだろうと当たりをつけていたのだ。売り場マネージャーの風格を持ったおじさんは、在庫データを調べることもなく「ウチはあいうえおで並んでいる」とひとこと呟き、『サ行』を一瞥しただけで「品切れ中」を宣言してしまった。ずいぶん諦めのはやいおじさんだ。ひとり残された僕は書架の隅から隅までもういちど丹念に目で追ったが、やはりない。仕方がないのでレンタルDVDの新入荷でもチェックして帰ろうと視線を落とした先に、平台の上で山積みとなった「海炭市叙景」をみつけた。だがこのタイトルなら持っている。市内の老舗・福村書店で手に入れていた。結局、全国有数の大型店と佐藤とは縁がなかったのだろう。
 Amazonを使えば自宅で手軽に購入できるが、消費税をとる同店にいささか否定的な僕は、佐藤のような作家だからこそ足を使って求めたい、つまらないこだわりがあった。
 GEOのお兄ちゃんが教えてくれた情報によると、もう一冊「そこのみにて光輝く」が残っている。先に巡った二店に無いことは分かっていたので、目指すは老舗だ。
『伝説の作家・佐藤泰志の《最新刊》』を手にして店を出たとき、冷え込みが戻ったまちに、陽が大きく傾いていた。

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 市内では上映が終わった映画『海炭市叙景』。その最終日、劇場の責任者にお願いして宣伝用のポスターを分けてもらった。さっそくパネルに収めて部屋に飾り、朝晩ながめている。
 今年の日本は前半から大きな変革の年となった。
 函館山に見下ろされて執筆に専念する。

「わたしたちは、あの場所に戻るのだ」

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佐藤泰志/ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/佐藤泰志
佐藤泰志/Amazon.co.jp
http://amzn.to/gWYefi
映画「海炭市叙景」公式サイト
http://www.kaitanshi.com/ 
映画『海炭市叙景』を観た。破滅と再生の物語。久しぶりにみるヘビー級の邦画だった。
http://purplecoelacanth.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-bd4a.html

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