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2006年12月11日 (月曜日)

close your eyes〜ドン・エイリーのソロアルバム「K2」

 昨日、小さな幸せがあった。
 いつものように、市内にある数件のリサイクルショップを定点観測していたのだが、大量のジャンクCDがぶち込まれた汚い衣装ケースに顔を突っ込み、今年発売されたばかりのゴミ山を掻き分けていたら、底の方で眩い光を発するディスクがあるではないか。オドロく勿れ、DON AIREY『K2 TALES OF TRIUMPH AND TRAGEDY』を発掘してしまったのだ! すご過ぎるぞ、俺! え? よくわからない? とにかく驚け。おばちゃんたちの、堀内孝雄のカセットを探して丸めた背中に触発され、探り尽くしたはずの煤けた黄色いケースを片っ端から再点検してみたところ、二つめのケースで「ケーツー」と微笑むコイツをみつけて思わず鷲掴んでサルベージしたよ。
 同CDは言わずと知れたロック・キーボード界の大御所ドン・エイリーのソロアルバムである。1986年パキスタン北部にある「K2」(標高8611メートルで世界第2位の高峰)登頂に成功しながら、下山途中に不慮の事故で命を落としたアラン・ラウズ、ジュリー・タリス、ドブロスラワ・ウルフら探検隊の悲劇を描いたコンセプト・アルバムとなっている。ネットオークションでも5,000円は下らない作品を、俺は200円で手に入れてしまったのだ。
 すでに廃盤となっているが、なぜか日本のマーケットでは人気があるようで、オークションでも高値で取引されているようだ。理由として、13曲目「DEATH ZONE/WHITEOUT」に、日本建国史上最強のRockスパークル・VOWWOWのヴォーカリストとして活動した人見元基が参加しているからだと思われる。ドンのファンなら当然としても、人見元基マニアのコレクターズ・アイテムとして外せない一枚だ。おまけに参加ミュージシャンの顔ぶれも豪華だ。ドン・エイリー/コージー・パウエル/ゲイリー・ムーア/メル・ギャレイ等々、ハードロックの「家系図」を辿れば必ず誰かと誰かがリンクする混線模様、友達の友達はみな友達だ方式で織り成された目眩く全14曲、人見元基の超絶ヴォーカルが英国のRock神と渡り合う! 日本建国史上最強のRockスパークル・VOWWOWはイギリスを拠点に活動していた時期もあったからね。
 日本建国史上最強のRockスパークル・VOWWOW解散以降の人見元基は、英語教師として第二の人生を送る日々だが、彼の現在の歌声は「NHKむしまるQ」のサントラなどで聴く事ができる。金子マリ、おおたか静流、GENKI、野村義男の強力コーラスによる「いのちのかね」は必聴だ。80年代に突如として巻き起こったヘヴィメタル・ブームで苦楽を共にした大谷レイブンや高橋ロジャーらと余暇バンドを結成し、盆暮れにはライブハウスに出演しているとも聞くが、極地に住んでいるとなかなか観に行けなくて残念至極。
 それにしても、ああ! なんて素敵な一日でしょう。
 ところで、最近のロックってどうなの?
 渋谷陽一が編集長を勤める「SIGHT」って雑誌がある。名前に釣られて、創刊された頃はよく読んでいたけど、あれは音楽雑誌じゃないんだね。現在(いま)語るべき事など何もないと云わんばかりの編集スタイルだ。ロック音楽とは、時代で包括して総括する時代に入ったのだろうか。それぐらい何もない。
 世の中に矛盾なんかいくらでもあるわけで、敗戦からナンの解決もないまま持ち越された社会問題等の“熱いネタ”なら日本はその宝庫のはずだ。みんな知らない振りをしてるのだろうか。音楽や映画、あるいは小説の人達がテーマを選んで作品にしてもウケないという、そんな時代に拍車がかかっているようだ。ひとつずつ問題を“解決”させるのではなく、常に意識として持ち続ける事が重要じゃないのか。といってもロックと政治を絡めたいのではなく、その周辺のチンピラファッションを含めて「ブレイク・スルー」こそ基本ではないか。そうでなければ、ロックという煩い音楽を演る意味を感じない。抵抗すべき対象を持たないロックな現象の数々は寝言ていどの意味しか持たず、すべては「ニューミュージック」に収斂してしまったのだ。
「若き日、フラワーだのヒッピーだのって、その日のタバコ銭さえ持ってなかった俺はそんなモノにさえなれなかった」
 あるインタヴューでオジー・オズボーンが語っていたのが印象的だ。
 ひところ街を歩けばズボンをずり下げてパンツを出して歩くヤツをよく見かけたが、あからさまな階級差別があるでもなく、一億総中流意識を抱えた国の若者が自らをアピールするために着こなしを考案するとああなるのだろう。サウンドとファッションで既存の常識を覆したイギリスの若者達の「だらしのない格好」に、ジェントルマン達は眉をひそめてきたのだ。

 これまで一年かかった変化が二カ月足らずで起こる情報化社会を「ドッグ・イヤー」と呼ぶ向きがあるが、俺は、そんな「同時代」な作家には何の興味もないね。
 CMでもテレビでも映画でも、自分と同じ世代の仕事はすぐに判る。同じ文化に触れ、それを吸収して創作に活かすのだろうから、底が割れているというか、アイディアの源泉が容易に想像できてツマラないんだ。おまけに、そんなものでさらに盛り上がる若い世代には、なんてお手軽でチープな奴らだろうと思うね。
 子供向け番組だって例外ではない。いまでは若い母親が主な客筋だという「ヒーローショウ」では、変身前の美青年に人気が集中しているそうだ。じゃあ変身しない方が良いんじゃないか。でも変身しないならヒーローじゃないじゃん。もっと深みにハマったママの場合、ヒーローの着ぐるみの中で奮闘する時給850円のバイト学生がお目当てだったりしてさ。甘いマスクのNHKの体操のお兄さんが健康保険のTVCFでハツラツとする世の中なんだよ。
 女性の社会進出が叫ばれて久しいけど、女が出てくるとあらゆるものが生臭くなって、イヤだね。
 そもそも、今どきの“ヒーロー”は何を相手に闘っているのだ?

http://ja.wikipedia.org/wiki/VOW_WOW

(以下は管理人と意見が合わなそうなので、勝手に紹介する)
「厚見玲衣倶楽部」 ttp://www2u.biglobe.ne.jp/~VOWWOW/ ttp://www2u.biglobe.ne.jp/~VOWWOW/'87.7.30.html

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受信: 2009年2月15日 (日曜日) 15時55分

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